せっかく昨日チャレンジテストを受験してくれた小学生の皆さんにちょっと解説講義。
昨日の理科の問題で,正答率が低かった“振り子(ふりこ)”について考えてみましょう。
ここでのポイントは,“振り子の等時性(とうじせい)”です。
振り子が振れるときの要素はいくつかあります。
1.振り子の長さ
2.振り子のふれはば(振幅)
3.振り子のおもりの質量(小学生のみなさんは重さと考えてよいでしょう)
です。
表に10回往復する時間が載っていましたね。
結論から言うと,振り子が往復する時間は,“振り子の長さ”で決まります。
せっかくなので,歴史上の人物を登場させましょう。
かの有名な『ガリレオ・ガリレイ』です。
実は振り子の等時性を見つけたのはガリレオ・ガリレイです。
ピサの学生時代に,彼が出入りしていた教会にはランプが天井からくさりでつるしてありました。それが振動しているのを見たガリレオは自分の脈拍を使って周期(往復する時間)を測定しました。そしてランプの振動の周期がふれはばの大小に関係ないことに気付きました。
その後ガリレオは糸でコルクの球をつるしたり,鉛の球をつるしたりして実験し,振動の周期が糸の長さだけで決まることに気がつきました。
※アルプスの少女ハイジのブランコの周期が長いのは,ブランコの長さがおそろしく長いからです・・・
ガリレオだったら絶対乗らないでしょうね(笑)。
ちなみに周期が約8秒だとすると,ブランコの長さが16mほどですね。
(ロープの重さや角度を無視したとして。)
周期を2乗して,9.8倍して,4で割って,円周率(3.14・・・)の2乗で割ると振り子の長さが計算できます。
ぜひ計算してみてください!
余談として,
ガリレオは物理学や天文学で有名ですよね。
もともと数学者になろうと思っていたそうです。ですが数学教師の収入はあまりにも少なそうにみえたので父と相談して医者になろうと思い,17歳でピサの大学に入ったそうです。
(参考文献 物理のあしあと 奥田 毅 著)
周期を脈拍で測ろうとしたところが医学生らしいですよね。
普通そんなこと調べるか!?と思いますが,やはり天才はそこが違うのでしょう。
収入のことで医者になろうと決めたところが少し腑に落ちないですけど・・・
話を戻しましょうか。
ふりこの長さが,
50cmのときは1往復で1.4秒,
1mのときは1往復で2.0秒となります。
(正確には少し値が異なりますが,解きやすい数値に近づけて出題していました。)
問については,おもりの重さやふれはばの違いは無視して,振り子の長さのみ注意すればいいわけです。(4)~(6)の解説です。
(4)ふりこの長さ50cm,おもりの重さ10g,ふりこのふれはば30cmのふりこが,5往復する時間は何秒ですか。
→1往復は1.4秒です。よって5往復では7秒となります。 答え)7秒
(5)ふりこの長さ1m,おもりの重さ20g,ふりこのふれはば20cmのふりこを1分間ふらせると何往復しますか。
→同じく1往復は2.0秒です。1分間=60秒ですから,30往復します。 答え)30往復
(6) 支持ぼうの真下50cmのところにくぎをおき,ふりこの長さ1m,おもりの重さ30gのふりこをふらせる実験をしたところ,図のような動きをし,A点と同じ高さのC点まで上がり,ふたたびA点までもどってきました。1往復する時間は何秒になりますか。
→途中で振り子の長さが変わることに注意です。
A→Bでは1m,B→Cでは50cm,C→Bでは50cm,B→Aでは1m
ですよね。
また,1mの振り子の1往復が2.0秒であるので,A→Bではその4分の1の0.5秒ということになります。同様にして,B→Cは50cmの振り子なので0.35秒です。
よって,
A→B:0.5秒,B→C:0.35秒,C→B:0.35秒,B→A:0.5秒となるので,
答えは,
1.7秒です!
正解したかな?